あなたがドラムを始めたきっかけって何でしたか?
「みんなバンド組もうぜ?!」もし友達同士とだったとしたら、何をやるのか決めているはずです。なぜなら、かっこいい姿や感動の曲たちに出会い影響をうけたからです。
ところが最初から仲間がいなく、一人ぼっちのケースもあったりします。すると、
「誰でもいいからバンド組みたい」って考えるようになります。
そして、メンバーは何とかそろいました。でも、みんな目指すアーティストがちがいます。
これは困りましたね。
ドラムはギターやシンセとはちがい、メロディーのパートではありません。そして地味な裏方です。どうしても派手な弦楽器に実権をにぎられてしまい、結局言いなりなってしまうのは少なくない話です。
自分が好きなアーティストならまだ許せます。けど、自分の目指す理想とはまったくちがうジャンルだったとしたらどうなのでしょう。「やりたくないけど仕方ない」が本音ではないでしょうか。
「じゃ~そのバンド辞めちゃおうか?」
ちょっと待ってください。それ、もったいないですよ?
自分の好みとはちがうジャンルという経験は、あなたの貴重な財産になりますよ!
将来どうなるのかはまだ分かりません。でも一つだけ言えることがります。
「本当に音楽が好きだったとしたら、曲なんてなんでもいい」ということです。
44歳になって、あらためて実感した経験と思い出を書いてみましたよ。
ブランディングに惑わされないで?バンドのよさは曲にあり
自分の好みじゃないバンドに対して、なぜ「やりたくない」って思ってしまうのでしょう。
「まったく正反対の音楽だ」ということもあると思いますが、もっと「別のところ」があるのではないでしょうか。
「そのバンドのブランディングが苦手」という場合は往々にしてあります。音楽を音楽としてプレイする、と考えるというよりも、バンドの場合はちがうような気がします。
バンド形式は「風味を大事にする」とわたしは考えています。そして風味こそブランディングです。そのバンドの特徴でもあります。特徴を若者たちは自分を重ねています。そして、その風味が自分の代弁詞でもあるのです。
「歌詞とメロディにどんな味付けをするのか」もそのバンドの風味の1つです。味付けが万人受けすれば、どんなジャンルでも受け入れてしまいます。なぜなら、全国のみなさんが「いいね」っていっているからです。
「これは価値がある」って知るまでにはプロセスがある
でも、ここからが、本題です。
確かに「美味しいものは誰でも食べたい」って思います。そして美味しいものでも、その見た目によって毛嫌される場合もあります。
「ちょっとグロテスクだからわたしはパス」といわれて、食べてもくれない食材も世の中にはたくさんあります。
遠いむかし何の情報もない中、あのイガイガのある「うに」が「うまい食材」に見えたのでしょうか。きっと最初は躊躇(ちゅうちょ)したはず。食べて、はじめて「美味しい!」って知ったと思えます。
でも、今の時代「うに」は人気の高級食材です。それは、最初に食べた人が「うまい」って広めた結果、みんなが美味しい食べ物だって認知したからではないでしょうか。
「あのメラメラした昆布にひっつているトゲトゲの虫みたいなの食べてんの?変わってるー」ってバカにされるとしたら、変わり者の少数派としては尻込みしてしまいそうですからね。
「みんなと同じことをよし」として育った、島国日本人の特徴でもあります。
「うに」のはなしをふまえてバンドのはなしにもどします
もしあなたがコピーしようとしているバンドのメンバーが、
どんな人がどんな「格好」で、
どんな「話し方」をしているのか、
どんな「趣味趣向」で、
どんな「思想」の持ち主で、
どんな「過去」を送ってきたのか、
という情報がまったく無いなか、「音源だけを聞いた」としたらどうでしょう。目隠しされた状態で「うに」を食べてみることです。
「曲としてはわるくない」って思った場合、では何があなたのこころをさえぎっているのでしょう。それこそが、上記の言葉たち。
それがブランディングであって、食材の情報なのです。
「いくらいい曲とはいえ生理的にNGです」
つまり、コピーするバンドのブランディングが「あなたがの自己イメージに合わないから、コピーしたくない」が本音ではないでしょうか。
でも、上達することを目指すなら、ブランディングに惑わさてはいけません。食わず嫌いはだめですよ。なぜなら、美味しいからです。
楽器全般に言えることです。ドラムをプレイする以上引き出しは多いほうがいい。
コピーするジャンルが片寄ってしまえば、叩き方も似たり寄ったりが落ちです。コピーしているバンドの曲調が変わらなければ、あなたの腕は進歩しないことでしょう。
だったら、早いうちに美味しい「うに」のとり方をマスターしちゃいましょうよ。そうすれば、いつでも、自由に食べることが出来るのですから。
過去の経験はその後のドラム人生に活かせます
いまから約30年前、わたしは自分がやりたくないバンドをイヤイヤコピーした経験があります。
なぜなら、そのバンドの服装や歌い方やバンドのテーマがカコイイって思えなかったからです。確かに、ギターはすごかった。イントロだけ真似してみたこともあります。
でも、「おれバンドで○○のコピーやってます」って言えない。何かバカにされそうだったからです。やっぱり、万人受けするバンドがいいって思ってました。ミーハーでした。
そして約30年経ったいま、そのバンドのコピーをするようになりました。
「まさか!このジャンルを叩くとは・・」と思いながら、音源を聴き込んでいます。いま、あらためて曲をじっくり聞くと「かっこいい・・」。
「類は友を呼ぶ」どこかひかれるものもある
動画配信サービスを使って好きなアーティストを検索すると、
「そのアーティストを検索する人は、こんなアーティストも見ています」的な、キャプチャーが表示されていますよね?
その「一緒になっているアーティスト」は、あなたが興味を持つ可能性のあるアーティストです。
面白いものですね。人の好みを知ることが出来るということが、
その30年前にイヤイヤコピーしたバンドを検索すると、わたしが好きなバンドがキャプチャーに映し出されます。
それは、あれほどイヤだといっていたジャンルがブランディングを変えたことによって、人気が出て、わたしはイヤだと思っていたジャンルを好んで聴くようになったからです。
30年前ということもあり、味付けはちょっと古いです。でも、「こんなに難しいギター弾いていたんだなぁ~」って関心したのは、当時、プレイではなく、ブランディングを見てそのバンドを評価してしまったからです。
そのバンドの「良さ」をまったく分からなかったけど、いま遠回りしてやっとその「良さ」が分かるようになりましたとさ?というはなしでした。
おわりに
食わず嫌いはダメですよ?食べればきちんと身になりますからね。
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