「恨んだ相手が不幸になるのは嬉しいのはしょーがない」ってことについて書いています。
■参考書籍
- 著書:正しい恨みの晴らし方 科学で読み解くネガティブ感情
- 著者:中野信子 澤田匡人
人は他人の不幸を喜ぶイタい感情を持っている
まずはこの感情について著書から引用してみます。
心理学では、「シャーデンフロイデ(傷ついた喜びというドイツ語)と呼ばれています。日本語でいう「ざまを見ろ」「いい気味」と同様で、他人の失敗や不幸をうれしいと思うことです。p33
人が誰かの不幸を「見て・知って」楽しんでしまう気持ちのことを言うそうです。「他人の不幸は蜜の味」って昔からいわれている誰にでもある感情のこと。
理性では「いけないこと」だと思うし、不幸になった当人の前では「可愛そうなふりや心配なふり」を演じたりもする。非常にデリケートな状態ですよね。
とくに、「自分が持っていて相手が持ってないモノがある状況」は相手に気を使うものです。
もしあなたと友達と二人で合コンに参加したとき友人はカップル成立、あなたは取り残されては心穏やかではいられません。
会社で同期入社のヤツが先に出世したときも嫉妬するし、昇進した人は大きな声で喜ばないのもよくある話でしょう。
なぜなら、自分とその相手が同じくらいの位置にいたから。
そしてもう一つ、よくあるケースが、
ついこの前は自分と同じレベルにいた人が、頑張ってちょっと上のレベルに上がったとき、その相手が苦しい状況にあったときの感情です。
たとえば、収入に見合ってない高級車を買ったものの、何らかのアクシデントに巻き込まれ、苦しい状況に追い詰められていまうパターン。
- 事故にあってローンだけ残る
- 給料が下がり生活が苦しくなる
車を買った本人としては「この車で人生をエンジョイする。何とかやっていけるだろう」って予定を立ててたけど、思わぬ自体につまずいてしまったケース。
「収入に見合った生活を」とか「夢追わず現実主義」とか「高級車に乗りたいけど買えない人」などが、この人が苦しんでる姿を見た時どう思うのか。
「ほら見ろ。やっぱりなぁ」って嬉しくなりますよね。
いま自分が置かれているレベルでは、何かあったときに生活が苦しくなるのはわかるし、手の届かないモノを手に入れてそれがダメになったからです。
この感情について著書から引用してみます。
シャーデンフロイデは、他者の不幸が相応しいものであればあるほど経験されやすくなります。p33
「今日は雨だから傘必要だよ」って言ったのに、「今日雨、大丈夫っしょ?」って言って傘持っていかなかったせいで、ずぶ濡れになったとしたら、アドバイスした人としては「ニヤ」っとするものです。
「シャーデンフロイデをするのが習慣な人」には気をつけた方がいい?
シャーデンフロイデと恨み(うらみ)の実験について、著書からザックリと抜き出してみます。
著者と、ある心理学者が大学生に協力してもらって恨みについて性格を調査、測定した結果、恨みについてわかったことがあります。
- 「恨みを晴らすまでは気がすまない」の有無を質問
- その後「架空の大学生が自業自得になるストーリー」を読んでもらう
すると、恨みやすい人ほどシャーデンフロイデを感じやすいことがわかりました。p34
これって逆に言ったら、
人の不幸を常に探し、楽しんでいるタイプの人間は、「根に持つタイプ」とも言い代えられる。
そうなると、他人の失敗談とか噂話好きな人には、なるべくかかわらない方が無難じゃないって思えてしまう。
もしあなたがプチ不幸になったとき、相手がニヤニヤしてたとしても「勝手にシャーデンフロイデしてればいいさ~」って好きにやらせとけばいい。
その笑って楽しんでる相手のアラ探しをして、やり返すのは後々面倒になるって話の様ですね。
「健全なシャーデンフロイデの仕方」はあるのか?
さらにもう一つ大学生をつかった実験をしたそうです。
- 偽の”知的能力を測定”して、「高い」「低い」を適当に割り当てる
- 続いて、音痴な女性がアイドルのオーディションを受けて、審査員にダメ出しされる動画を見せる
結果、「自分の知的能力が低い」って診断された学生は、「君、頭いいね」っていわれた人よりも、「この女性の不幸が喜ばしい」って回答したそうですよ?
しかも、実験をする前の段階で「自分に自信がない」と答えた人に限られていたそうです。
ただでさえ自信喪失気味な人が、さらにプライドを傷つけられると、全然関係のない他人の不幸を喜ぶことで自分を慰めるようになるというわけです。p36
わたしにも覚えはあるし、周りの人を見ても当てはまると思う。劣等感が強い人程、他人の不幸話が大好きなのは否めません。
なので、「プライドを傷つけられた恨みを消すには、まったく自分とは関係の無い人が不幸になる様を見て癒やされるのかも知れない」って著者はいってます。
たしかに、悪いことをした鬼が桃太郎にやっつけられる話は気持ちいいものです。この本にも書いてあったけど、時代劇「忠臣蔵(仇討ち)」はその代表作ですよね。
他にも、ズルいことをして美味しい想いをしている人が、バチが当たるのを見るのは何か気持ちがスッキリしてしまう。
著者のいう通り、こんなシャーデンフロイデの使い方が、誰も傷つかない恨みの晴らし方の一つなのかも知れませんね。
正しい恨みの晴らし方 (ポプラ新書) (日本語) 新書 – 2015/2/2
おわりに
自分の不幸を消すために他人の不幸で心満たされたとしても、それは現像です。問題解決のためには、その不幸を幸せに変えるしかないでしょう。
かくいうわたしも今、ズッコケたレベルから必死に抜け出そうともがいてます。他人の不幸のアラ探しをしても何も始まりませんからね。
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