人を説得したい!脳の2つの仕組をヒントに他人を操れるのか?

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あなたはなぜ値札にダマされるのか?

 

■「お金」という報酬を与えると本気を出すのはなぜ?

■反対に、お金という報酬がなくても不利な状況を受け入れるのはなぜ?

 

人のこころは、どんな動機(働き)によって行動するのでしょうか。

どうやら人の脳には、

「異なる2つの部位」の不思議な働きがカギをにぎっているようです。

 

今回学んだ本

あなたはなぜ値札にダマされるのか?

「著」

オリ・ブラフマン

ロム・プラフマン

「訳」高橋則明

 

「報酬の可能性をちらつかせると、かえってモチベーションが下がる」というはなしにもなっています。

 

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国の核廃棄物問題の解決に金銭的報酬は役に立つのか?

実際にあったはなしを、省略して書いています。

 

スイスは自国の自給率を上げるため、原子力発電所をつくることにします。

当然、原発を動かせば放射性廃棄物というゴミが発生します。そして、ある小さな町を候補地に選ぶことにしました。

 

住民はどのような反応をするのでしょう。

  1. 「断固反対」と怒るのか
  2. 「お国のため」と犠牲になれるのか

どんな手を使えば納得して受け入れてもらえるのでしょうね。

興味を持った大学の研究チームが、

「住民がどのような反応をするのか」を調べることになりました。

 

Aグループへの対応)とりあえずうふつうに言ってみた結果

町の集会場にいくつかのグループに分けて住民を集めます。放射性廃棄物貯蔵施設について説明することにしました。

最初のグループAには、ただふつうに国からのお願いとしてのはなしをします。

 

当たり前ですが住民は不安です。誰だってイヤなのは分かります。

が、同時に「社会的義務感」なのか、愛国精神というプライドなのか、単にそうするのが正しいことだと思ったのか、分かりませんが、

50.8%もの住民が公益のために我が身を危険にさらすことに同意しました。

 

半分はOKという結果です。が、反面、反対者は半数近くいる状況は、政府にとって深刻な問題です。

さあ国はどうやって住民を説得するのでしょう。

 

Bグループへの対応)特典つきですよ?

次のグループBには、建設反対者を味方につけようと「お金あげますよ?」という、

「金銭的付加価値」をプラスします。合理的対策を試してみることにしました。

 

金にものをいわせる手口ですね。よくある解決法です。被害者にたいして弁償金を支払うことで示談に持ち込む作戦に似ています。

やっぱりお金あっての現代社会です。お金はないよりは、合った方がいいですからね。

 

値段はいくらに設定したの?

同じ町のグループBに対して、最初のグループAと同じ内容の説明をします。が、最後にこう付け加えました。

受け入れ地の保証金として、町民1人当たり5000フラン(年約40万円)を支払うことが決議しました。もちろん財源は国民の税金です。

 

さあ面白くなってきましたね。住民はお金に食いつくのでしょうか。

経済的観点から見れば、金銭的動機付けによっての効果は期待でいきますよね?

大変な条件でも仕事を辞めない理由として高収入という動機もあります。成績が上がったら欲しいものを買ってあげるとこどもは頑張るものです。

 

合理的に考えれば、何ももらえないよりは「少しでももらった方がお得」って思います。

この「報酬の理論」からすれば、補償金が高ければ高いほど、人は求められる行動を選ぶと思われるからです。

 

「冗談じゃない!」という結果に

補償金というメリットを提示したのにもかかわらず、建設賛成派は増えませんでした。逆に、なぜか、さらに、賛成率が半分(24.6%)下がってまったそうですよ?

お金をプラスしたら反対派はもっと増えちゃったという結果です。

 

最初のグループ(補償金なし)での賛成指数は50.8%でした。お金を払ってくれるのに、なぜ反対派が増えたしまったのでしょうか。

 

実験による試験への反発が示す結果とは?

 

■ここで、もう1つ別の事例も紹介します。

 

イスラエル大学で40人の学生を対象に「実験」と題したビジネススクールの入試問題を受けてもらう協力を依頼したそうです。

 

今回この学生たちは、自分が望む学校の適正試験を希望しているわけではありません。あくまで「(実験の協力)のためのテスト」です。

 

当たり前ですが、試験で高得点をとってもこのビジネススクールには入れません。それでも「ベストをつくすように」と要請(お願い)していました。

 

一方、

別の40人のグループにも同じテストを受けてもらうことにします。ただし、

正解1問につき「2.5セント」の報奨金つきです。

1セント=約1円前後です。(変動します)

何ももらえない最初のグループよりはましです。が、2.5セントだと金額設定はちょっと低めでしょうか。

 

テストをしてみると「報奨金あり」の方が平均点が低い結果になりました。

中でも注目ポイントは0点者の数です。

  • 報奨金あり=8人
  • 報奨金なし=4人

 

この結果をどう解釈すればいいのでしょう。

試験はマークシート方式です。0点というのは偶然では起こりにくいもの、鉛筆を使ってこたえの枠へ適当に埋めれば、どれかは当たるものですよね?

実験者をからかう気持ちも分かります。

 

しかし、報奨金というメリットを与えたグループも、なぜ?「0点者」がいるのでしょう。

「お金なし」よりも、

「お金あり」の方が0点の数が多いのは、なぜなのでしょうか。

 

ここで「スイスの小さな町での実験」を思い出してください。同じ矛盾がありますよね?

「お金じゃやないの!」がこたえになるのでしょうか?もう少し深いところに答えがありそうです。

 

脳科学の観点から解き明かす

 

「報奨金が脳にどのような影響を与えるのか」の実験をした、米国国立衛生研究所(NIH)は、神経生理学的理由によって矛盾点を解き明かしてくれました。

被験者は特別仕様のMRI装置の中に横になって、簡単なコンピュータゲームをするという実験です。

賞金は自分に与えられる

■内容は、画面に現れた「○△□」を撃って消していくゲームです。

  • 「○」を消すと賞金GET。○の種類によって増額する
  • 「□」を消すと罰金。□の種類によって減額する
  • 「△」を消しても何も起こらない

 

被験者には今現在の得点(賞金)がわかるようにされています。

結果、△は無反応な中、

○か□が現れる(賞金か罰金か)たびに「脳の側坐核」が活性化したそうです。

 

側坐核について

側坐核は進化論によると、最も原始的といわれている野性的な部分です。人類は野生の勘で生きていました。

現代社会で突然トラに襲われることは考えにくいものです。でも側坐核の機能は今も生きています。

待望の初デートにワクワクしたり、スポーツ観戦での逆転劇に感極まったり、パチンコでフィーバーして儲かったり、やっとの思いで魚を釣り上げたときなどに反応します。

側坐核が活発になると「満足」というドーパミンが分泌するからです。

 

この部位は「快楽中枢」と呼ばれています。

快楽中枢は、麻薬やエロやギャンブルでハイになる現象と関係があるそうです。

 

この快楽中枢は「少量では足りない」という特徴を持っています。

1000円の儲けより、10万円儲かったらすっごく興奮しそうですからね。

「もっと度数が強いお酒で酔いたい!」お酒も慣れてくると量が増えてしまいます。

 

ゲームの実験でもわかるように、快楽中枢は金銭的報酬に対しても反応することは明らかです。

生物学的にいうと、金銭的報酬は少量のコカインに相当するのである。

側坐核は利己(自分の得)に反応するともいえます。

 

賞金は慈善事業への寄付金

さきほどと同じゲーム(○△□)を今度は、

「賞金は自分ではなく寄付になる」という設定にしてやってもらいました。

 

同じように、ゲーム中の脳をスキャンした結果、

被験者の「上側部溝後部」という脳の場所が活発に反応がしました。

他人の利益(利他)のために頑張ると反応するから、この部位を、「博愛中枢」と呼ぶそうですよ。

 

2つの機能の特徴を発見

人間の脳は、動作や言語をつかさどる部位を同時に使うことができます。

話しながら食事をしたり歩いたりすることが出来ますよね?でもこの2つの部位はちがいます。

快楽中枢と博愛中枢は同時に機能するこはできず、どちらか一方しか働くこができない。

つまり、白黒ハッキリしてしまうのですね。

 

実験をふり返って考えてみると

スイスのはなしを思い出してください。

でも不思議ですよね、補償金という特典をつけたのに、なぜ?側坐核は反応しなかったのでしょう。つまり、お金GETによる興奮です。

 

5000フラン(約40万円)というお金では、快楽中枢を興奮させられるほどの金額ではなかった、

つまり、

「そんなはした金ではこの身を捧げるには安過ぎる」

そして、最初、補償金がなかったときにの賛成者が半数いたのは、

住民は「国を助ける」という士気(人が団結して物事を行う意気込み)によって危険を、あえて引き受けたのです。

博愛中枢が自己犠牲という反応を出したことになります。

 

つまり、せっかくの良心を安値(年40万)が台無しにしてしまう結果になったのですね。

 

快楽中枢VS博愛中枢はどっちが強いの?

それはまるで、人間の脳に同時に動かすことのできないエンジンがふたつあるようなものだ。

 

人は物事に対して、利己的か利他的にしか取り組むことはできないことが解りましたよね?

そして、快楽中枢は、より多くの燃料を必要とする特性を持っています。

 

残念ですが、人の脳は、快楽中枢に強い刺激を受けると、博愛中枢を飲み込んでしまいます。

つまり、慈愛(利他)よりも快楽(利己)が勝ってしまうといことです。

脳にプログラムされている「本能」ですから、仕方がないことなのですね。

 

まとめ

✔ やる気を出してもらうため「金銭という動機」を与えると、かえって相手の意欲を低下てしまう。

✔ 生理的に金銭的報酬とは麻薬と同じ、脳の「快楽中枢」を刺激する。

✔ 快楽中枢は常により多くの刺激を求めるから、人の思考を歪めてしまう。

✔ 一方、利他的行為は脳の「博愛中枢」をつかさどっている。

✔ 2つの中枢が争うとき、快楽中枢が博愛中枢をのみ込んでしまう。

✔ あらかじめ報酬を提示すると、やる気(動機)がズレてしまう。

 

おわりに

「人は金銭的動機によって絶対的にやる気が増す」という考えはまちがっている証明になりました。

「理屈では説明できないこと」とは、本能がこたえでした。

お金がないときに、頼み事をするなら、感謝を伝える行為が有効になるでしょう。

 

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