今回、有給について書こうと思ったのは、
新入社員さんに、
「私って、どれだけ有給が使えるのでしょうか?」
と質問されたことがその理由です。
労働基準法に関わる資格を持ってはいるものの、正直、スッカリ物忘れ状態です。
なので、再確認という意味もあって、私なりにまとめていましたよ。
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入社してから有給休暇をもらえる日数は法律で決まってます
新入社員とベテラン社員では、有給が使える日数はちがいます。
話すより、まずは、下の表を見て下さい。
6年6ヶ月たつと、満日(20日)有給が使えるようになります。
年次有給休暇に関する法律
■ 労働基準法第39条(年次有給休暇)
1項
使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割10労働日の有給休暇を与えなければならない。
~ 省略 ~
5項
使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。
ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
年次有給休暇の要約
年次有給休暇は、入社してから(継続勤務6ヶ月)で10日もらえます。
● 継続勤務2年6ヶ月までは1年ごとに1日ずつ、
● 継続勤務3年6ヶ月以降は1年ごとに2日ずつ加算される。
(最大20日まで)
もったいないから早く使っちゃいましょう!有給休暇には有効期限がありますよ?
労働基準法第115条によって、年次有給休暇の請求権は、2年です。
時効によって消滅、使えなくなってしまいます。
あなたの給料明細書を見てみましょう。
有給残日数、前年・当年、などの表現で書いてありませんか?
上)の表は、前の年に一回も有給休暇を使ってない人。
下)の表は、前の年に有給休暇日数を全部使った人。
有給を使ったら会社から圧力がかかりました
「有給は欠勤だ!」
「けしからんからボーナスを減らしちゃえ!」
「休んだのだから、皆勤手当は無しに決まってるだろ!」
「お前に出世はないぞ!他の部署に出て行け!」
そんなあつかいをされている人はいませんか?
それって立派な法律違反です。
■ 労働基準法第136条
使用者は、第39条第1項から第4項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。
「労基の136条違反ですよ!」
パワハラをする会社側や上司に対して、主張できる当然の権利を労働者はもっています。
それじゃ~具体的に有給を使った日は、いくらお金がもらえるのでしょうか。
年次有給休暇の賃金の支払い
就業規則の中に書いてある「その他のものに定める定義」にもとずいて、
平均賃金か、所定労働時間、働いた場合に支払われる通常の賃金を受け取ることができます。
とは言え、
労働組合や労働者の代表(過半数による)と書面による協定によって、
「(健康保険法の標準報酬月額の30分の1に相当する金額を払う)旨が定めてある」場合は、約1日分に相当する日給を受け取ることができます。
参考(法第39条7項)
簡単なはなし、
「いつもの給料がもらえる」と言っています。
もう一つの気になるポイント
「有給で会社を休むと、日給が通常の6割しかもらえない」
という話しを聞いたことがあります。
まずは、下記の法律を見てみましょう。
■ 労働基準法第26条
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。
■ 労働基準法第76条
1 労働者が前条の規定による療養のために、労働することができないために賃金を受けないにおいては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の100分の60の休業補償を行わなければならない。
2 以下省略
もしかすると、会社側としては、
「会社に出勤してないのだから、給料は6割でいいじゃん」って考えているのかも知れません。
でも、これらの法律はあくまで、会社側の都合ですよね?
でも、さっき、
と書きました。
一日に1万円もらえるのに、6千円しか支払われていないのなら立派な法律違反になりますよね?
わたしなんかは、イエスマンのはしくれです。
典型的なサラリーマン思考のヘタレ従業員です。
実際、それって違法じゃないの?という事情があっても、つい、長い物には巻かれてしまいます。
年齢が高くなると転職する勇気もありません。いまを維持することが精一杯だからです。
忍耐という美意識も植え付けられた日本では、そんな人はイッパイいるのではないでしょうか。
年次有給休暇をもっと理解しましょうね
有給休暇って、いつでも使えるの?
有給を使って休む日を決められるのは基本、私たち労働者です。
「じゃ~、今度のゴールデンウィークに合わせて有給を使っちゃおうっと」
でも、ダメな場合があるんです。
労働者が休む日を決める権利があるように、会社側にも、
会社の利益を守る法律にもなっています。
「オレも私も」と、1つの日に集中して有給を届け出されたとしたら、業務に支障をきたしてしまいます。
例えば
さっき「ゴールデンウィークに有給」って、あなたは言いました。でも、もし、あたなの職業がサービス業たったらどうなの?ちょっと想像して見ましょうよ。
世間が休みだからといって、世の中、全体も休んでしまったとしたらどうでしょうか。
連休を利用して旅行に行きたくっても、飛行機は飛ばない、ホテルは休み、ガソリンスタンドが閉まっていては車を走らせることも出来なくなっちゃいますよね?
「ママ?ファミレスのハンバーグが食べたいのにお店が閉まっているよ?」
「当たり前でしょ?今はゴールデンウィークだから仕事はみんな休みなのよ・・・」
~ 国民の休日とは、国民全員が何もしないで、じっとしている日 ~
とウィキペディアに書かれてしまいます。(笑い)
平日のディズニーランドは人が少なくガラガラな日もあります。あの休日の盛況ぶりからは考えられない光景です。
ほとんど並ばないで、好きなだけアトラクションに乗ったことがある人もいるんじゃないでしょうか。
週末、休日、祝日はサービス業にとっては忙しい。正にこの時季に人手が欲しい状況です。
それなのに、社員に有給をとられては、会社の業績に関わってしまうでしょう。会社側も会社の利益を守る権利がある、という話にもなっています。
会社側と社員とのよい関係をつくることが大事になってきます。
おわりに
1つの事情に対して、1つだけの法律があるとは限りません。いくつもの法律が複雑に絡み合ってルールが定められています。
結局、何が一番強いのか?誰が優先されるのか?は、その場その時によって変わっていくでしょう。
しかし、労働者には労働者の立場があります。
たとえ会社側に流されていたとしても、何かあったとしても、法律を知っていれば自分を守る知識となります。
自分を守ることは、家族をも守ることにつながるからです。
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