人は皆、大きな力と広い心の持ち主に寄り添って生きていたいと思うものです。
人と争わない人間が、もしあなたの上司だったなら安心して仕事ができることでしょう。
「本当の大物」ってどんな人なのでしょうね。
出世のためなら何をしてもいいのかダメなのか
「同期のヤツラに先をこされたくない!」理由はそれぞれです。そんな出世レースはどこにでもある話しです。
「出世のためなら、どんな手を使ってでも出世した方が勝ち」と思う姑息な同僚に、あなたも同じ方法をつかって対抗しようとしていませんか?
■たとえばこんな感じ、
- 上層部に取り入る
- 大きなプロジェクトをうばい合う
- 立場の弱い人を利用する
「自分が昇進するためなら他のヤツなんてどうだっていい」そんな自己中でオレがオレが人間はどこの会社にもいるものです。
たしかに積極的な行動派の社員は会社にとっては戦力なのでしょう。
取り入るのが上手い世渡りさんであることが昇進するための必要なスキルなのは否めない事実ですからね。
そして念願叶い出世できました。
勝ち取ったくらいです。人間力もあるのでしょう。でも心無い戦略をつかい、人を押しのけて勝ち取った方法をほかの人たちはどう見ているのでしょうね。
きっと、快く(こころよく)は思わないはずです。
「大きな手柄のためなら」とか「大きな実績を上げるために」などの手段をつかい注目を集め、「会社は弱肉強食の世界」と言って戦う道しかなかったのでしょうか。
戦国の世に生きた中国の思想家に聞いてみる
そこで中国の哲学者の老子(ろうし)のことばを引用してみます。
敢えて寸を進めずして尺を退く
(老子 六十九章)
つまり、「1メートルすすむことを考えないで、10センチ退くことを考えなさい」という意味だそうです。
退く(しりぞく)とは、「じぶんの儲けばっかり考えないで、他人の利益も守ってあげるべき」とか、「自分の意見をそっと胸にしまい、相手を尊重してあげること」だそうです。
「そこどけ!」っていう人を好きにはなれません。「どうぞどうぞ」ってあつかいをされたら誰だって気分いいですからね。
昭和のビッグスターから「したわれる生き方」を学ぶ
昭和の大スターといえば石原裕次郎さんです。といっても今はもう知っている人も少ないのかも知れませんね。
なぜこの人は多くの人たちに慕われ(したわれ)ていたのでしょうか。
「裕次郎は誰にでも謙虚」のエピソード
ある新人俳優がデビュー当時、とある撮影所のスタッフをはじめ、俳優たち一人一人のもとへ挨拶にいきました。
しかし「あぁそう・・まっ頑張ってね・・」そっけない対応ばかり。
中にはテーブルに足をのせたままタバコをプカプカとふかし無視する人もいたそうです。
ところが1人、裕次郎だけはちがいます。
その新人が挨拶をすると、裕次郎はサッと立ち上がり、深々とお辞儀して、次のようなことばで新人をむかえたのです。
「こちらこそ、どうかよろしくお願いします。これから一緒にがんばっていきましょう」
当時、既に大スターだったのにですよ?
この新人は裕次郎さんの態度や返答を見て、いったいどう思ったのでしょう。
「自分はこの人に一生ついていこう。俳優として大成しなかったら、この人のお抱え運転手でもいい。雑用係でもいい。とにかく、この人のそばにいたい」
と思ったといいます。
実はこの新人役者とは、後の石原プロモーションの社長についた、渡哲 也さんだったのです。
そしてその後、石原プロがピンチになったときに、自分(個人)の財産を惜しみなく差し出したと記憶しています。
中々できる様なことではありませんよね?人の心を動かしてしまうほどの器の持ち主だったからなのでしょう。
裕次郎は人の心理を知っていたのか?
そこでもう1つ、老子の格言を引用してみます。
敵を軽んずれば、ほとんどわが宝を喪う(うしなう)
「立場の弱い人をあなどっていい気になっていると、そのうち自分の大切な宝をうしなうハメになる」という意味だそうです。
前章で書いた「敢えて寸を進めずして尺を退く」も合わせて考えると、誰にでも謙虚で、しりぞいて一歩退く態度が、結局はじぶんが生き残るコツってさとしてくれています。
自分の立場が危うくなってから猫なで声ですり寄っても時既に遅し、という結果になるでしょう。
つくるなら、敵ではなく見方という分けなのですね。
おわりに
勝つためだからといって何をしようが本人の自由です。
別にいまが良ければそれでいいし、未来は誰にもわかりません。優しければすべてが上手いくとは限らないのかも知れません。
でも、本当の成功とは長期的な目線で考えた行動だと思うのです。
人を押しのけて手に入れたものでその場は満足しても、結局はむなしいだけですからね。
どうせなら、祝福された昇進でありたいものです。「それが甘い」というのなら、どうぞ苦い結末を味わってくださいな。
▼人はイヤな記憶を忘れないもの。
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